よこむむの電子工作記

電子工作や修理日誌です

PCエンジンDUOジャンク品からのフルメンテナンス~その2~

前回の外装クリーニングに続き、基板のフルメンテナンスを行います。

まずはカバーを外した内部の様子です。

通気口の周辺にホコリが溜まっており、かなり汚れています。

メンテナンスを始める前に、まずは取り外した基板を観察してみます。

気になった点としては…

①まず、ほぼ全てのチップ電解コンデンサで電解液の液漏れがしていることです。

部品の足に艶がなく、腐食している様子が窺えます。

ほぼ全てのコンデンサが、です。。

開いた口が塞がりません。

このまま使っていると例によって電解コンデンサはいきなりパンクしますし、電解液による侵食も進み基板パターンの傷みによって最終的に機能しなくなります。

っていうか、既にかなり浸食が進んでいますね。隣のダイオードの足まで腐食しています。

 

②そして、ヘッドホンボリューム。

電解コンデンサから漏れ出した電解液に侵食され、サビッサビになっています。 これでは機能しないのもわかります。

 

③あと、電気二重層コンデンサーが寿命を超えており、膨張しています。

過放電した証拠で、もう殆ど機能しません。

今回は、以下のメンテナンスを実施する必要がありそうです。

 

取り外す電解コンデンサーの一覧は、公開してくださっているサイトがありますので紹介します。

PCエンジンDUOの電解コンデンサリスト | レトロゲーム保存会

また、私がまとめたパーツリストを掲載します。部品購入の際の参考用にどうぞ。

 

…ということで、まずは、ラジアルリードタイプの電解コンデンサを交換するために取り外す作業から入ります。

 

交換するには、はんだ吸い取り器が必要です。吸い取り機能のみの物だったら1,000円くらいで手に入りますが、両面基板のスルーホールに実装された部品を取り除くにためには向きません。

そこで、電熱器内蔵のはんだ吸い取り器を用意します。

以前に色々と調べて、知人にもアドバイスを請いましたが、これを選んでおけば間違いありません。

電熱式には、このような手動タイプと、ピストルのような形をしていてポンプを使って自動的にハンダを吸い取るタイプがあります。自動式は特殊な用途なので、このような手動式で十分です。

電熱器が温まるまでの間に、交換するコンデンサに赤色の印を付けておくと、間違いがなくて楽です。

そして、まずは、電気二重層コンデンサを引き抜いてみます。

基板の裏面には、電気二重層コンデンサのぶっとい足が生えています。

ここのはんだを電熱器付きの吸い取り器で吸い取ってみたところです。

これで基板の表面から引っ張ってみると、スルりと引き抜くことができました。

電熱器付きはんだ吸い取り器の威力、やはり恐るべし。

引き続き、基板上の電解コンデンサを全て引き抜きます。10個も無いのでちゃっちゃと取り外します。引き抜きにくい場合は、熱を加える時間を長くすると良いです。

次に、チップ電解コンデンサの取り外しにかかります。

 

動画サイトではニッパで電解コンデンサを潰したり左右に揺さぶって引き抜く方法も紹介されています。基板を傷めなければ、好みで良いかと思います。

私の場合は、効率重視、そして基板を傷めないようにホットエアーガンを使います。これが有るのと無いのとでは、作業効率に雲泥の差が出ますので、1台あると色々な用途に使えますし、便利です。この後、チップコンデンサを取り付ける時にも使用します。

こちらも色々と調べ、友人(プロ)からのアドバイスも請いましたが、コスパではこれが一番でした。購入してから数ヶ月間使用していますが、絶好調です。

ノズルは取り敢えず真ん中のサイズ(中)を使っています。

 

まず、樹脂部分を万が一熱風で変形させないようにマスキングテープで養生します。予防的処置ではありますが、もしも売り物を傷付けてしまうと(今回は自分で使う予定ですが)、一発でアウトですので、慎重に作業をすることにします。

 

マスキングテープは、樹脂にぴったりくっつけるよりは、隙間が空くように少しフワリと貼り付けるのがコツかと思います。また、空気の流れ的に、樹脂に垂直に当たるのを避けるよう、斜め上に逃がすような感じです。

まずは、ヘッドホン周りの電解コンデンサと、ついでにボリュームも外します。

部品の周りをまず熱風(350℃、風量は中くらい)で20秒ほど温めてから、部品一つ一つの足に対して直接熱風を当てます。すると、10秒程度でハンダがキラりと光りますので、部品をピンセットでつまんで外します。

 

そしてはんだ吸い取り線で余分なハンダを吸い取り…

そして、無水エタノールを綿棒に付けてフラックスと電解液の漏れたものを取り除きます。

 

ちなみに、余分なハンダを取り除くために、温度調節付き半田ごて(温調半田ごて)があると便利です。

腐食した足ピンのハンダは、不純物を含むため半田付け温度では溶けず、温度を高め(380℃程度)に設定しないと余分なハンダを綺麗に取り除くことができません。

また、現在は鉛フリーのハンダがメインですので、半田ごての温度も高めのものが多いです。しかし、レトロゲーム機の時代は全て鉛入りのハンダを使っていましたので、鉛フリー用の半田ごてでいじると「パチパチッ」とハンダが飛び散ってしまい作業が捗りません。このような場合には、逆に低め(330℃)に設定できると便利です。

それなりのお値段がするものですが、電子工作では一番よく使う道具ですので、良い物を選んでおきたいところです。

温度設定には色々とセオリーがあるようですので、詳しい説明は他のサイトに譲りますが、普段の電子工作に使うのは鉛入りでOKで、温度は330℃くらいを中心に使うことになるかと思います。

 

ついでに、ハンダ吸い取り線についてですが、私は幅2.5mmのものを使っています。表面実装(SMT)の部品を扱う場合、幅が広すぎると他の部品も巻き込んで外してしまいますし、逆に狭いとハンダを吸い取るキャパが少なくて作業しづらいです。

 

引き続き、残りのチップ電解コンデンサを全て取り外します。

初めてでも1時間程度で終わるかと思います。

基板がスッカスカになりました。その調子(?)です。

 

そして、予定通り基板洗浄を実施します。

消毒用エタノール(IPA)を取り外したコンデンサ周辺のなるべく広い範囲に吹き付け、ブラシで磨きます。汚れた液体は基板の外側に流してから雑巾で拭き取ります。基板両面に実施します。

 

すると、ピカッピカの新品の基板のようになります。

部品の取り外しと基板洗浄まで終わりました。

次はいよいよ部品の取り付けに取り掛かります。

 

次の記事へと続きます。

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